リハビリ、病後・術後のケアとしての鍼灸

鍼灸にかかるきっかけとして、一般的には腰痛や肩こり・くび痛などのイメージがあると思います。

 

ところが、宮崎レディース鍼灸院の問診で、症状のきっかけをお聞きすると、「実は交通事故で頸椎ヘルニアをやった」「2週間前に家で転倒、脇腹を強打し検査したら骨折していたがまだ痛い」「下半身の痺れで長期入院し退院したが痺れの違和感が続いている」といったお話が珍しくありません。

なかには「急性膀胱炎を繰り返し、炎症は薬で収まったと言われたが身体の怠さが取れていない」との訴えもありました。

実はこういう時こそ、鍼灸治療を試すチャンスです。鍼灸はこのような事故や怪我のリハビリ、病後の回復期にも効果が認められているのです。

 

そこで今回は、鍼灸治療とリハビリの実態と効果、その取り入れ方について解説します。

 

1.リハビリ・病後(病中)のケアとしての鍼灸の実態

 

現在、怪我や病後・術後の鍼灸治療を、西洋医学と組み合わせ積極的に行っているのは、全国の大都市に立地する大学系の総合病院がその中心かと思います。

このような総合病院での鍼灸治療の実態については、2008年の論文(「病院医療における鍼灸」)において、詳細に調査・報告されています[1]

この論文で、明治国際医療大学付属病院(京都)において実際に行われている鍼灸治療の役割が表にまとめられており、これを引用したのが表1です。

鍼灸が病院内において鎮痛、術後の痛みの緩和、訓練における疼痛管理といった幅広い目的で用いられていることが分かります。

[1] 「病院医療における鍼灸―現代における鍼灸の役割を考える-」若山育郎ほか、日東医誌Vol59 No4 651-666,2008年

また、東京大学附属病院のホームページによると鍼灸治療は、物理療法部門としてリハビリテーション部内に設けられており「西洋医学的治療(服薬等)に鍼灸治療を併用することで、鎮痛や機能障害の軽減、痒みやだるさ等の改善といったQOL向上を目指す治療を行っている[1]」とのことです。

 

このように鍼灸治療は、西洋医学とともに、術後や訓練中の疼痛緩和や、長引くもともとの疾患に寄り添い、生活の質をあげる有効な手段の一つであることが、お分かりになるかと思います。

 

2.なぜ鍼灸は長引く症状に効果的なのでしょうか?

 

改めて、なぜ鍼灸は病院においても、このような様々な慢性症状に広く用いられているのでしょうか。

 

第一に鎮痛効果です。

日々の暮らしでは「痛みがない」ことは重要です。術後、事故後の痛みに鍼は有効です。鍼刺激が、脳下垂体や副腎皮質などに伝達され、エンドルフィンなどの鎮痛物質を分泌、痛みを緩和するなどと考えられています。

[1] http://acputh.umin.jp/guide.html

第二に拘縮を改善し、関節の可動域を改善します。

術後や病後の安静期を経ると関節と関連する腱・筋肉等が縮こまり、普段の生活動作に支障が出やすくなります。例えば寝返りしづらい、転びやすい、着替えが不自由、階段の上り下りがスムーズでなくなるなど。

このような拘縮の予防、関節可動域の改善、怪我からの回復の促進についても、鍼灸の効果が認められています。

第三に全身の循環(血行)や、胃腸障害の改善

鍼灸治療の特徴として、不眠の質の改善、胃腸障害の改善が報告されています。睡眠や胃腸の消化吸収力や食欲が回復するに伴い体力も上向きとなり、「なんとなく怠い」といった不定愁訴を解消していくことが期待できます。

第四に、精神的な安定もあります。

術後や病後は社会生活からいっとき隔離されることも多く、そのあとは社会参加するのが面倒になるなど、気力がそがれがちです。鍼灸治療で自律神経を整えることで精神を安定させ、気力を回復させる効果が考えられます。

3.はり灸の取り入れ方 どこで、いつ?

 

どこで?

鍼灸治療を病院で受けようとしても、残念ながらそのような病院は全国でも数が限られています。また保険治療との混合治療の問題もあるため、現実的には通院とは別の日に別の場所、つまり専門の鍼灸院で治療を受けるケースが大半となります。

 

いつ?タイミングは?

次に鍼灸治療を始めるタイミングですが、鍼灸は炎症などが起こっている急性期にも有効です。

しかし実際には前述のように病院・クリニック以外で受け始めるとなると、多くは急性期や術後から少し時間が経った後、からのスタートが想定されます。

 

冒頭でご紹介したように、通院と併用することで総合的に効果が高まる、という考え方もありますので、思い立ったらすぐに鍼灸院を訪問することが大事です。「痛みがもう少し治まってから」と考える必要はありません。特に、関節の拘縮が伴う場合、一日でも早く始めることで回復までの道のりが短縮できることが期待できます。

 

はり灸の効果的な取り入れ方、タイミングのイメージが湧いたでしょうか?

 

宮崎レディース鍼灸院では、病気(急性期、慢性期)や手術・怪我のあとこそ、鍼灸によるケアを取り入れ、あなたの日常生活を少しでも早く取り戻すことをお勧めしています。

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