鍼灸による逆子矯正の効果は?安全性は?

鍼灸による逆子治療 ‐国内外の臨床研究の成果の最先端をレポート‐

産婦人科で逆子(骨盤位)と診断されたら、なるべく早期に矯正治療をスタートすることが、逆子を直す近道と考えられています。

しかしながら産婦人科で帝王切開日を確定する期限が提示されると突然、逆子矯正の判断は本人に任せられます。

「自分でできる逆子体操?」「それとも鍼灸?」「そのうち自然に直るから様子見?」とひとり悩んでいる間に赤ちゃんはどんどん成⾧、タイミングを失ってしまうケースをよく耳にします。

実際、宮崎レディース鍼灸院に逆子矯正を受けに来られる方も、逆子の診断からすでに3~6週間経過している場合が多くみられます。

そこで改めて、鍼灸による逆子矯正の現状、鍼灸施術の効果はあるのか、安全なのか、について国内外の研究成果を元に解説します。

1.海外でも珍しくない逆子への鍼灸治療と研究

2021年に発表された海外の報告によると、逆子の割合は妊娠期を通じて3-4%、妊娠28週以前では25%、32週で7%という統計があります[1]。32週で約15人に1人は逆子という計算になります。

そしてお灸や鍼による逆子治療は海外でも決して珍しいものではありません。欧米や東アジアでは、逆子の施術メニューをうたった治療院をWEBで容易に見つけることができます。図1 に示した米国カリフォルニア州の鍼灸院の逆子治療のホームページ例では日本同様、足の小指の「至陰」というツボに灸刺激を与えています(右下写真)。


このような逆子施術のエビデンスを確認すべく、臨床データを元にした逆子治療の効果に関する臨床研究も、継続的に行われています。その内容は次章で紹介します。

 

2.鍼灸治療の効果と安全性鍼灸は逆子矯正に効果的か

 

はじめに、巷には「鍼灸により90%以上の逆子が直りました」などとうたう鍼灸院があります。過去の一般的なデータから、逆子が自然に直る割合もかなりあると考えられる[1]ため本来、逆子矯正率の数字は、逆子治療をしたグループと、しなかったグループの比較をしないと意味がありません。

 

海外の臨床研究は、そのような比較のもとに行われています。その中で、2022年に台湾の専門家によって報告された最新のシステマティック・レビュー[2]では、逆子と鍼灸治療の効果に関する16の主要研究を総合して分析(参加者数2.555名)した結果、「お灸治療は、出生時の頭位(→正常分娩)を有意に増加させた」と結論づけています。

 

ちなみにここでいうお灸治療の内容は主に「至陰」という足の小指の外側の経穴(ツボ、図2)にお灸を行うものが大多数です。

 

図2 「至陰」の位置

 

また安全性については、もととなった16研究のうち4件で有害事象を報告しましたがその事象の内容は、お灸に伴う腹痛、咽の問題、不快な臭い、で重篤なものはありませんでした。

 

 

3.なぜ逆子が治るのでしょうか

なぜ、至陰穴などへの鍼灸施術が骨盤位を頭位へと矯正を促すのでしょうか?


 

そのメカニズムは実は明らかではありません。この点が、産婦人科医が逆子鍼灸を薦めるか、薦めないか、意見が分かれる一つの理由と考えられます。

 

至陰穴への刺激に伴う自律神経の反射により,臍帯動脈や子宮動脈が拡張,子宮への動脈血流増加を促した結果,子宮の血流量が増えて軟らかくなり,胎児を返りやすくしている[3]という説があります。

あるいは妊娠ウサギによる基礎研究では逆に、刺激により子宮筋は収縮し、血中オキシトシンが増加、それが胎動の増加を促したと考察され、前述の研究とは異なる見解が示されています[4]

 

なお臨床現場で頻繁にみられるのは適切な施術を行った場合、すぐに胎動が起こった、身体が温まったという実感です。

 

4.逆子治療の実際と鍼灸院の選び方

 

宮崎レディース鍼灸院では、逆子施術に力を入れています。なぜなら東京での逆子施術の経験から、適切な施術を行えばかなりの確率でかつ安全に、逆子を直すことが可能と考えるからです。

さらに逆子を直すだけではなく、お灸や鍼で同時に肩こりや腰痛など身体の不調も可能な限りケアできます。続く分娩、育児に必要な体力を蓄えるためにお灸などを活用することは、江戸時代から認められてきた日本人の習慣でもあるのです。

宮崎レディース鍼灸院の逆子施術には、お灸だけでなく鍼治療、くわえて医師から許可がある方は逆子体操、また自宅でのお灸セルフケア指導を含みます。

なお赤ちゃんの首に臍帯がまきついている場合、医師から逆子体操を止められている場合、また当日お腹が張っている・痛みがある場合はリスクがあり、施術は受けられません。

 

施術は完全個室でプライバシーを守ります。施術室を暖かくし、照明を落とした状態で休憩時間をとるなど、なるべくリラックスできるよう配慮します。自宅でのセルフケアも同様ですが、身体を冷やさないようにし、心身ともにリラックスした状態で施術を受けることが大切です。

 

加えて重要な点は、短期集中で取り組むことです。宮崎レディース鍼灸院では基本的には来院1回または2回で、続くセルフケアは2週間まで、としております。理由は、お灸などにより血流が向上すると赤ちゃんの成長も促進される可能性があり、育ちすぎることで赤ちゃんが回りづらくなり、難産の可能性にもつながりかねないからです。

 

普段は鍼灸になじみのない方にとって初めての鍼灸、それも妊娠中、となると不安が大きいものです。しかしながら鍼灸による逆子矯正は海外も含め以前から広く行われ一定の成果を上げており、試す価値は十分あると思われます。そして経験のある鍼灸院を選べば、リスク管理をしながら安全に施術を受けることができます。また都市部では逆子矯正に鍼灸を積極的に薦める産婦人科医も増えています。

 悩んでタイミングをのがす前に、鍼灸院に相談されることをお薦めします。


 




[1] 医事新報No.4983 (20191026日発行) P.58形井秀一 (洞峰パーク鍼灸院院⾧/筑波技術大学名誉教授)登録日: 2019 10-29 最終更新日: 2019-10-21コーナー: 質疑応答臨床一般

[2] 全日本鍼灸学会

[3] 26年前の古いものであるが、以下の研究では60%ほどとしている “Moxibustion for correction of breech presentation: a randomized
controlled trial”, Cardini et al, JAMA 1998: 280(18):1580-4

[4] “Correction of Breech Presentation with Moxibustion and
Acupuncture: A Systematic Review and Meta-Analysis”, Jian-An Liao et al, Review
Healthcare (Basel) . 2021 May 22;9(6):619. doi: 10.3390/healthcare9060619.

[1] “Breech Presentation” Caron J. Gray; Meaghan M. Shanahan, StatPearls [Internet]. Last Update: August 11, 2021.

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